みなさまこんにちは。
今回はひさびさに靴ネタです。
これまで、何本かこのブログでも靴の購入記を書いていますが、私は基本オフィスでのお仕事ながらいつも出張移動が多いため、靴の消耗が結構激しい方です。
そういう次第で、ここ最近は長距離歩行が苦にならないグッドイヤーウェルト製法の靴で、かつ靴底の摩耗が少ないダイナイトソールのものばかり買っていました。
革靴は消耗品と割り切っているのと、いわゆる高級ブランド靴などは、若い頃に買ったものがまだ何足か残ってるので、そういうアイテムは狙いません。
あくまで実用品としてコスパが高め、しかし作りは本格派というタイプが好みです。
で、先日ちょっと梅田に出かけた際に、その手のお手頃シューズながら非常に惹かれるお品に出会いました。
完全に一目惚れしてしまった次第で、これから暑くなる今時期に買うような靴でもないのですが、買ってしまいました。
今回はその靴、ジャランスリワヤの98651 TOKIOのインプレッションです。
ジャランスリワヤ(Jalan Sriwijaya)とは
まずはブランドの簡単なご紹介から。
ジャランスリワヤはインドネシアで誕生したシューズブランドです。
「Jalan」はインドネシア語で「道・通り」を意味し、「Sriwijaya」は7〜13世紀にスマトラ島を中心に栄えた海洋王国の名に由来します。
現代においては、厳選された素材と熟練の職人技術を用いて高品質な靴を作り続けるブランドとして、本格革靴ファンの間で広く知られています。
特筆すべきはその製法。
アッパー・中底・ウェルトを手作業で縫い合わせる「ハンドソーンウェルテッド製法」を採用しており、同価格帯の靴の多くが採用するグッドイヤーウェルト製法よりもさらに手間のかかる、上位の製法です。
このブランドを知るほとんどの人が口をそろえて「この価格帯でハンドソーンウェルテッドは異常」と言うほどのコストパフォーマンスが最大の魅力で、私もまさにその点に惹かれ続けているひとりです。
国内の正規代理店はGMT inc.が務めており、私の地元大阪では、梅田の阪急メンズ館や阪神百貨店内に店舗があります。
今回の98651 TOKIOも、その梅田で実物を見て一目惚れした次第です。
98651 TOKIO(トキオ)はどんな靴か
まず商品の基本スペックを整理します。
| 品番 | 98651 |
|---|---|
| モデル名 | Tokio(トキオ) |
| カラー | BLACK |
| 素材(アッパー) | CALF LEATHER(カーフレザー) |
| 製法 | ハンドソーンウェルテッド製法 |
| ラスト(木型) | EDWARD(エドワード) |
| ソール | DAINITE(ダイナイト) |
| スタイル | 外羽根プレーントゥ |
| 価格 | ¥41,800(税込) |
公式サイトの商品説明はこのように書かれています。
98651<Tokio(トキオ)>はオーソドックスなデザインの定番外羽根プレーントゥシューズ。装飾の無いミニマルなディテールが素材の良さを引き立てています。程よいボリュームの端正なフォルムで、ビジネスユースからカジュアルなスタイリングまで幅広く合わせられる汎用性の高い1足に仕上がっています。使用ラストの「EDWARD」は自然な丸みを帯びたエッグトゥが特徴。ストームウェルトにダイナイトソールを採用した重厚な印象の底周りとも好相性で、存在感のある足元を演出しています。
出典:GMT inc. 公式オンラインショップ
「装飾のないミニマルなディテール」「オーソドックス」という言葉がすべてを物語っているように思います。
キャップトゥでもメダリオンでもブローグでもない、純粋なプレーントゥ。
シンプルの極北ともいえる仕上がりです。
なぜプレーントゥなのか — 装飾を捨てることの強さ
革靴のデザインはざっくり言うと、つま先部分の意匠によって大きく分類されます。
キャップトゥ(つま先に横一文字のステッチが入るもの)、ウィングチップ(W字型のウィングをあしらったもの)、メダリオン(穴飾りがあるもの)、モンクストラップ……などなど、バリエーションは多彩です。
そのなかでプレーントゥは、つま先に装飾を持たない最もシンプルな形状。
余計な情報がないぶん、足元の印象は靴そのもののシルエットと素材の質感のみで決まります。
これは言い換えると、素材の良し悪しと木型の完成度が如実に出るデザインでもあります。
TOKIOがプレーントゥであることが、私にとって非常に重要でした。
キャップトゥはそれはそれで美しいのですが、ステッチラインが入ることで視覚的に分断された印象になります。
プレーントゥはつま先から甲にかけての曲面が途切れることなく続くため、靴全体のシルエットがより素直に目に入ってきます。
で、このTOKIOのシルエットが、個人的にツボど真ん中なのですよ。
エドワードラスト(EDWARD LAST)の特長
TOKIOに採用されているラスト(木型)は「EDWARD(エドワード)」です。
エドワードラストの最大の特徴は、公式が「エッグトゥ」と表現している、自然な卵形のトゥシェイプにあります。
先端は丸すぎず、かといって細すぎもしない。
正面から見ると柔らかいアーチを描きながら、横から見ると程よい高さを持ったフォルムです。
この「丸すぎず、細すぎず」というバランスが、私としては黄金比に近い感覚があります。
ジャランスリワヤにはエドワード以外にもいくつかのラストがありますが、個人的に一番美しいと感じたのはこのTOKIOのエドワードラストですね。
ふっくらとした丸みを感じさせながら、野暮ったくは見えない絶妙な塩梅で、英国調のクラシックな雰囲気をきちんと纏っている点が魅力だと思います。
ハンドソーンウェルテッド製法の何がすごいのか
ジャランスリワヤ最大の武器ともいえるのが、このハンドソーンウェルテッド製法(以下、ハンドソーン)です。
一般的な本格革靴の多くが採用する「グッドイヤーウェルト製法」との比較で説明するとわかりやすいです。
グッドイヤーウェルトは、アッパー・中底・ウェルト(靴底と甲革をつなぐ細革)を専用のミシンで機械縫いする製法で、耐久性が高く、オールソール交換にも対応できる優れた製法です。
ただし、中底とウェルトの間にリブ(細い板状のテープ)が介在するため、どうしても中底がある程度の厚みを持ちます。
一方ハンドソーンウェルテッド製法は、その名の通りウェルトの縫い付けをすべて手作業で行います。
機械縫いでは不可能な細かい角度での縫製が可能になり、リブを使わずに中底に直接ウェルトを縫い付けることができます。
その結果、中底が薄く仕上がり、足と靴底の間にある素材の層が少なくなるため、地面を踏む感覚が格段に自然になります。
足馴染みの速さ、フィット感の精度、長距離歩行時の疲れにくさ——これらはすべて、この製法によるところが大きいと私は感じています。
通常、ハンドソーン製法の靴は国内でも軽く8~10万円を超える価格帯のものがほとんどです。
それを4万円台で実現しているジャランスリワヤのコストパフォーマンスは、本当に異常だと思います。
ダイナイトソールの特長 — 実用性に徹したラバーソール
TOKIOに採用されているダイナイトソール(Dainite Sole)は、英国のJ.R.Rendenfoot社が製造するラバーソールです。
表面に均等に配置されたスタッドが特徴的で、この形状が優れたグリップ力と通気性を両立します。
革靴のソールにはレザーソールとラバーソールの2大系統がありますが、出張移動の多い私にとってレザーソールは雨に弱すぎて実用的ではありません。
かといって安価なラバーソールは見た目がスポーティになりすぎたり、独特のペコペコした踏み心地が気になることも。
ダイナイトソールはその点において高い水準で両方をクリアしています。
耐摩耗性が高いため、毎日履いても底の減りが遅い点も出張族にはありがたい。
レザーソールがひと月も履けば踵がすり減るのに対し、ダイナイトソールはその何倍も長持ちします。
また、ストームウェルトとの組み合わせにより、底周りの重厚感も際立ちます。
見た目にも存在感があり、ドレス寄りでありながらアウトドアにも耐えうる実用性を兼ね備えた最高のソールだと思っています。
外羽根式であることのメリット
TOKIOのスタイルは「外羽根式(ダービー)」です。
内羽根式(オックスフォード)との違いは、羽根(靴ひもの穴が開いたパーツ)が甲革に縫い付けられているかどうか。
外羽根は羽根が外側に開く構造のため、足の甲への締め付けを自由に調整しやすく、足入れのしやすさに優れています。
一般的にフォーマルの格はオックスフォードのほうが上とされますが、実用性の面では外羽根に分があります。
足の太さや甲の高さによって靴ひもの締め具合を変えられるため、甲が幅広だったり、外反母趾がある方でも比較的フィット感を出しやすい。
私は右足の外反母趾が結構な重症なので、この点は地味に重要です。
また、外羽根式は比較的カジュアルスタイルにも馴染みやすく、ビジネスでもカジュアルでも使える汎用性の高い1足になりやすいという点も、TOKIOのコンセプトと見事に合致しています。
デザイン面での特徴 — 英国調の普遍性
この靴のデザインを一言で表すとすれば「英国調のオーソドックス」に尽きます。
エドワードラストの丸みを帯びたトゥ、ストームウェルトの重厚な底周り、装飾を排したミニマルなアッパー——これらが組み合わさって、見る人が見れば「ああ、本格的な英国靴だな」と感じさせる空気感をまとっています。
まあ、インドネシア製なんですが。
しかし、それでいてロゴや特徴的なデザインシグネチャーに頼るのではなく、シルエットと素材と製法の質感だけで勝負しているところが渋い。
記号性よりも中身で勝負する——そういうアプローチが、英国の伝統的な靴作りの根幹にある哲学だと私は思っていて、TOKIOはそれを4万円台という現実的な価格で体現している稀有な一足です。
ブラックカーフのアッパーは、磨けば磨くほど艶が増し、表情が変わってきます。
経年変化を楽しみながら長く付き合える靴として、これ以上ないキャラクターを持った一足といえるでしょう。
ジャランスリワヤの紐靴の特長 — ガルーダとの比較
私はTOKIOを購入する前に、すでにジャランスリワヤの98998ガルーダ(外羽根Uチップ)を所有していました。
そのガルーダとの比較で気がついたことが、TOKIOの甲回りは若干余裕があるということ。
ガルーダに比べて幅は狭いラストですが、甲の厚み方向は明らかに広い印象で、足先のゆとりの感じ方がほんのり違います。
ジャランスリワヤの紐靴に共通する特徴として感じるのは、踵(かかと)のホールド感がコンパクトにまとまっている点です。
いわゆる「日本人は踵が小さいからかかとが抜けやすい」という問題を感じにくい設計になっており、日本人の足型に比較的合わせやすいブランドだと思っています。
TOKIOも例外ではなく、踵のフィットは日本人でも緩く感じない、むしろコンパクト目な印象です。
サイズ選びのはなし
今回の購入にあたって、店員さんからは7サイズ(UK7.0、25.5cm相当)をおすすめされました。
しかし私は、あえてワンサイズ下の6.5(UK6.5、25.0cm相当)を選びました。
革靴はタイト目に履き始めてコルク層が沈んだところで本来のフィット感が出るという考えがあるからです。
実際、ハンドソーンウェルテッド製法の靴はインナーにコルク層が敷かれており、履き込むことでそれが足型に沿って圧縮され、完全にカスタマイズされたようなフィット感が生まれます。
履き始めにやや窮屈でも、30〜40回も履けば足に馴染んでくれると踏んでいます。
まあこのあたり、いろんな靴屋さんで話を聞いても、店員さん次第で言われることが結構マチマチなので、何が正解なのかいまだによくわかっていませんが。
なお、私の場合小さ目のサイズ選びにはもうひとつ理由があります。
外反母趾の出っ張りが酷い右足への対応です。
少し大きいサイズを選ぶと、外反母趾の出っ張りが内部に当たるばかりか、足が前滑りして余計な圧力がかかる悪循環が生じます。
外羽根式なので紐の締め具合で前滑りを防げる構造なのですが、それでもタイトなほうが全体的にコントロールしやすい、という判断からのUK6.5です。
ちなみに公式サイトのスタッフ着用サイズのデータも参考になります。
足長25.0cm・幅やや広めのスタッフさんがエドワードラストでUK7.0を選んでいる点からも、標準的な足型であれば実寸よりも少し大きめのサイズを選ぶことが推奨されているようです。
私の場合はあえてそれを逆行してタイトを選んでいる形になります。
実際に履いてみた — 履き始め数日の印象
さて、いよいよ本題です。
実際に2,3回だけ履いてみた感想を正直に書いていきます。
外観の印象
外から見ると、まあまあシャープな印象です。
エドワードラストの丸みはありつつ、横から見るとノーズのラインがきちんと絞られていて、野暮ったさはまったくない。
正面から見ると卵形のトゥが端正で、ストームウェルトの出っ張りがソリッドな存在感を添えています。
ブラックカーフの革も光沢があり、磨きがいがありそうです。
個人的に感じる黄金比のバランスで言うと、トゥが丸すぎず細すぎずで本当にちょうどいい。
細くもなく太くもなく、見た目の主張が適度で、どんなコーデに合わせても「靴が主役を張りすぎない」絶妙な存在感があります。
これがTOKIOが定番と呼ばれる所以だと思います。
履き心地の第一印象
見た目はシャープな印象なのですが、履いた瞬間の感触は極めて重厚です。
以前レビューしたバーウィックの靴(グッドイヤーウェルト製法)と比較しても、さらに重厚感を感じます。
ダイナイトソールの厚みが地面からの衝撃をしっかりと受け止めているのがわかりますし、ストームウェルトの張り出しが踏み込む際の安定感に一役買っています。
ソール自体に硬さはあまり感じないのですが、確かな厚みと重量感がある。
「本物の革靴を履いている」という実感が強い靴です。
外反母趾との格闘
正直に書きます。右足の外反母趾の出っ張りにより、履き始めは靴擦れがめちゃ起きました。
外反母趾の出っ張りが靴に当たると、足が反時計回り方向のモーメントを受ける形になり、その結果として右足の踵の内側が靴の内部に擦れ続けます。
これは私がほかの靴でも経験済みのパターンなので、今回はあらかじめ履き始めにテーピングをして臨みました。
そのおかげで幸い出血には至りませんでしたが、テーピングなしで一日歩いていたらトラウマ級の大惨事になっていたでしょうw
とはいえ、これは外反母趾持ちが革靴を履き始める際には宿命ともいえるプロセスです。
革靴は履き込むことで革が伸び、コルクが沈み、徐々に自分の足型に寄り添ってくれます。
30〜40回も履けばきっと馴染んでくれると信じて、地道に育てていくつもりです。
長距離歩行における優位性への期待
現時点では馴染みきっていないため、長距離歩行での本来の実力はまだ評価できません。
ただ、羽田空港内をかなりの距離歩き続けた印象と、ハンドソーンウェルテッド製法の靴を以前履いた経験からすると、馴染んだ後の快適さは別物になるはずです。
グッドイヤーウェルトのリブがない分、中底がフラットで足との一体感が高く、蹴り出しのエネルギーが足に直接伝わるような感覚があります。
出張で1日1万歩以上歩くような日には、製法の差が足の疲れに直結します。
コルク層が沈んでから本領を発揮するタイプの靴ですので、しばらく履いたのちに改めて続・スモールフィッシングの方でインプレッション記事を書こうと思います。
季節感について — 夏には正直、暑苦しいw
購入した時期についても正直に書いておきます。
これから暑くなるシーズンに、ハンドソーンウェルテッド+ダイナイトソールという重厚な作りの革靴を買うのは、客観的に見てタイミングが悪いですw
ハンドソーンウェルテッド製法の靴はその構造上、レザーソールよりもソール全体が厚くなる傾向があります。
さらにダイナイトソールはラバー製ですから、通気性はさほど変わらないでしょうが、吸湿性という点ではレザーソールに劣ります。
真夏の炎天下でこれを履いて出張移動すると、足元の蒸れは覚悟しなければなりませんし、見た目も暑苦しいですね。
本来であればこの手の重厚な革靴は秋口から春にかけてが旬です。
英国靴の文化的背景も、雨が多く冷涼な気候に根ざしていますしね。
とはいえ一目惚れしてしまったものは仕方ない。
夏は出張のたびに靴の中を乾かしながら、秋以降に本格稼働を楽しみにして、今シーズンは足慣らしに使うつもりです。
育てて馴染ませる靴として
このTOKIOも、やはり育てて馴染ませる靴だな、というのが率直な結論です。
コルク層が沈みきるまでは、本当のフィット感はわかりません。
外反母趾の靴擦れも、革が伸びるまでは続くでしょう。
しかしそうした「苦労」を乗り越えたあとに待っている、完全に自分の足型に沿った究極のフィット感——それがハンドソーンウェルテッドの靴の醍醐味だと私は思っています。
「今すぐ快適」よりも「履き込んで育てる」。
そういう付き合い方を楽しめる人に向いた靴です。
私はそれが好きで、そのため似たような靴を買い続けているといっても過言ではありません。
デザインの普遍性、素材の良さ、製法の本格派ぶり、実用的なソール——いずれも申し分ない一足です。
しばらく履きこんで足に馴染んだあと、改めて詳細なレビューをお届けしたいと思います。
まとめ
- ジャランスリワヤ98651 TOKIOは、外羽根プレーントゥのオーソドックスな定番モデル
- エドワードラストは「丸すぎず細すぎず」の黄金比なシルエット
- ハンドソーンウェルテッド製法により、この価格帯として異例の本格的な作り
- ダイナイトソールで実用性・耐久性も高い
- 外羽根式なので甲回りの調整がしやすく、外反母趾持ちにも比較的対応しやすい
- コルクが沈んで馴染むまでが本番。育てて楽しむ靴として最適な一足
- 夏場の購入は蒸れ対策が必要。秋冬がベストシーズン
- 履き慣らし後に改めてインプレをお届けする予定
ということで、今回のお話はおしまい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
その他、以下のような革靴関連の記事も書いていますので、よろしければご覧ください。
タックルやルアーなどのインプレ・レビュー記事は、姉妹サイト「 続・スモールフィッシング」に記しています。
よろしければこちらのサイトもご覧になってみてください。
「密林偵察」して見つけたお買い得釣具のセール情報は、以下ブログにダイジェスト形式で紹介記事を書いています。よろしければこちらもチェックしてみてください。

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